2017.04.05
信濃町立富士里保育園 : 根津 ちひろさん
信濃町の南に位置する富士里保育園は田んぼや畑に囲まれた見晴らしのいいところにあります。子ども達と散歩に出掛けると飯綱山、黒姫山、妙高山が迎えてくれ、春には芽吹きの緑、秋には紅葉の赤や黄色、冬には雪山が壮大な姿を見せてくれます。散歩コースや日の出山等どんぐりや松ぼっくり、栗等いろいろな木の実を拾うことができます。園庭も広く様々な木や植物、小動物を身近に観察したり、遊びに取り入れたりすることができます。
また地域の方のご協力をいただき、春には畑で植える苗や種を近所のお店で購入するため園児がお邪魔して話を聞かせて頂いたり、色々な苗を見せて頂いたり、子ども達の質問にも答えて頂きました。散歩で出かけるお寺では仁王様もまたくぐりをさせて頂きました。
豊かな自然の中で自由な発想で活動する中で、自分で興味を持った事を調べ、追求していく事を楽しんでいます。やってみる、うまくいかなかったら工夫する等子ども達のたくましさも感じます。
少人数の保育園ですので、園全体での活動も多く取り入れています。異年齢での関わりも多く、年上の友達の遊びを真似したり、年下の子の世話を自然にする姿が見られるなど、異年齢での交流が自然に出来ていると感じます。
◇雪遊びでの出来事
5歳児の女の子が作ったたくさんの雪のお団子を1歳児の男の子が壊して遊んでいます。時間を掛けてお団子を作っていたことを知っていた保育士が「いいの?」と聞くと「うん、○○くんが楽しんでいるのが私も嬉しい。」と返事が返ってきました。1歳児の男の子は、とりあえず壊すのが楽しい!その姿を一緒に楽しめている5歳児の女の子の気持ちもとてもすてきだなと思います。年齢の違いを超えて2人が違うところで楽しめた瞬間でした。
◇石ころ遊び
散歩に出掛けるといろいろな場所で、色々な石ころを拾ってくる子ども達。「きれいにしよう」と水で洗ったり、色を塗ったりして自分だけの特別な宝物になったり、ごっこ遊びの時は卵やハンバーグになったり、子ども達にとっては拾ってくる石も特別な思いがあります。片付ける時には、そっと大切そうにロッカーの中に置く姿も見られました。気持ちがあると自然と大切に物を大切に扱うことができます。子ども達の思いや、そこに至る過程を大切にしていく事で生まれてくる気持ちがあることを感じました。
自然はいつでも私たちを受け入れてくれます。時には温かく、時には厳しく、その中でどんな活動をしていくかは子ども達次第です。自然環境と子ども達の間で化学変化が起こりどんな方向にでも転換していく可能性があります。たくさんの化学変化の中には失敗もあります。でも失敗を経験し、試行錯誤しながら繰り返し自分で考えて動く力を養う事が出来る事が素晴らしいなと思います。
四季の変化を肌で感じながら過ごすことができる富士里保育園、春は園庭でお花見をしたり、田んぼのあぜ道を自由に散策しながら新しい草花と出会うことができます。秋になると散歩の距離を伸ばしてふれあい広場でどんぐり拾いをしたり自分で見つけた自然物を使って工夫しながら遊ぶことを楽しみます。冬になると田んぼでしみわたり体験やその日の雪質によって、雪だるま作り、かまくら作り、尻滑りと遊び等実際の経験から得た学びを生かして遊んでいます。
子どもの成長していく姿を保護者の皆様と共に喜び自分の気持ちを安心して表現できる環境づくりをすることで主体性を持って子ども達が活動できるよう援助していきたいと思います。また、身近な友達と関わる中で友達の存在を認め、関わりを深められるように活動していきたいと思います。
「なぜ?」「どうして?」と疑問を持つのが子ども達です。そこから保育が始まるのではないでしょうか?自然の中には「どうして?」がいっぱいです。自然の中での豊かな経験の中に様々な力が育つ芽が眠っています。子ども達の思いに寄り添い、見守り、心を合わせた活動する中で、育ちの芽を大きく大きく伸ばしていければと思います。その為さらに保育士が、今の子ども達を見取る力を学んでいきたいと思っています。