2017.03.16
信濃町立柏原保育園 : 佐藤 千晴さん
柏原保育園は身近な自然を大切にしながら、広い園庭やマラソン等で使用していた園舎裏の環境を保育者や子ども達と整え“わくわく広場”と名付け、子ども達自らが遊びを考え出して活動しています。
春になると春のにおい、新緑の頃には新緑のにおいをかぎながら草花が生い茂り、じゅうたんのように広がる戸外に出ては土手を掛け上ったり尻滑りをしたり思い切り身体を動かして遊んでいます。かげちょろ、バッタ等の生き物も多く四季折々に豊かに自然を感じられる環境にあります。
子ども達の興味関心から自由に遊びを見つけ、自然物を遊びに取り入れながらやりたいことを自ら発信し、遊びが展開していくことを友だちと楽しむ姿があります。応答性のある自然の中だからこそ遊びをたくさん選択できるので、主体性が育つように感じます。また、自然の変化に気付き保育者や友だちに知らせ、分かち合う姿に嬉しさを感じています。
“わくわく広場”の大きな土手は斜面も急で、3歳児が上れずに困っていると5歳児が上から手を伸ばし助けてくれる姿がありました。木のロープで遊ぶ時も5歳児が待つ場所や約束を小さい子に伝えたり遊びやすいようにロープを押さえてくれたりしていました。
保育室でかげちょろを飼い始めると虫が苦手で触れない子が、本当は怖いのに「おなかがすいたらかわいそうだから。」と、かげちょろの為を想いバッタやコオロギを捕まえ大事に世話をする姿が見られました。
(子どものつぶやき)
雪が降っている様子を見ていた5歳児の女児が一言。
「神様がかき氷を食べているからだよ」
それを聞いていた子ども達が「どんな味がするのかな?」「食べてみよう」と戸外に出て大きな口を「あーーーーーん!!」
「おいしいね。」「つめたいね。」とみんなで嬉しそうに神様が食べているかき氷の味見をしていました。
毎日見ている景色は子ども達の原風景となります。子ども達が豊かに人や物と対話できるような時間と空間、そして豊かな教材が与えられることが大切だと思います。外ばかりが自然ではないので人間の内なる自然も大事にしてこそが自然保育かと感じています。
春は園庭の桜の木の下でお花見しながらおやつを食べ、散歩先では地域の方々と言葉を交わし、北信五岳を眺めながら芽吹きや紅葉、雪化粧する四季の移り変わりを肌で感じながら、真冬の1m以上積もる雪の中で元気に身体を動かし雪遊びも楽しんでいます。
四季折々の自然の中で子ども達が「明日も保育園で遊びたい」と思えるよう、一人ひとりを大切にして寄り添いながら保育をしています。自分の住んでいる地域の良さや身近な自然の中で過ごしたり遊んだりする楽しさを味わいながら、子ども達一人ひとりの育ちを見守っていきたいと思います。
子ども達はどんな場所でも遊びを見つけ、興味の島はそれぞれ違います。自然の中に素材や用具等、環境を工夫し整えることでさらに遊びを選択する幅を広げ、遊びを深めることができるのだと思います。また、園の子どもの様子、年齢に合わせて経験してほしいことを意識しながら成長に合わせて環境を変えていくことも大事だと思います。その中で生まれた気付きや発見を丁寧に汲み取ることで安心した中で子ども達が共に育ち合い、主体性が生まれてくるのだと感じております。
保育園それぞれの状況にあった自然保育を保育園の職員皆で試行錯誤しながら、資質向上に努めていければと思います。