2017.03.06
長野市立とがくし保育園 : 園長 水野 辰也さん
・天候に関係なく「ふっても、てっても」毎日園外に出かけ、周囲の自然や人に積極的に関わります。自然の中で足腰を鍛えます。
・園の標高910メートル。長野市公立園随一の高度地帯にある立地を生かし、戸隠独自の動植物やその環境に親しんでいます。
・かつて海だった歴史や国立公園に隣接している、という特色を持つ戸隠の様々な自然の学びを保育に取り入れます。
・保・小・中・高が連携して一貫した教育のねらいを定め取り組む「戸隠教育」の根っこを実践します。
・中山間地の小規模園ならではの特徴を生かし、異年齢で関わりながら自然と遊びます。
・戸隠の子どもたちはとても人なつっこいのです。初めてきた人にも、ここの先生であるかのように接します。
年度初めの春には、外に出かけると「つかれた~」の声がすぐに出て、ついでに涙も出たりします。でも時がたち冬が訪れる頃には、雪の坂道を熊さん歩き!腰まで潜る雪を楽しそうにラッセルして歩くようになります。そして、その活動の中から自分でやりたい遊びを見つけていくのです。
・雨の散歩~雨上がり。
「ふっても、てっても」ですから、雨の日も合羽を着て外に出掛けます。トタン屋根から落ちる雨水で、拾った栗を洗っている子がいます。歩いていくうちに雨が上がって、子どもたちが水溜りを囲んでいます。何かいるのかな・・・と近づくと、水面に移る自分達の姿を見て喜んでいるのです。雨の中を歩くから、雨上がりの素敵な光景を見つけることもできるんですね。
・「外で遊んでいる時には、子どもを叱らないで済んだ・・・」ということはありませんか?自然の中では、やらされるのではなく、自分で考えて遊ぶから、叱られないのだと思います。自分で考えることは、広い意味で『自分の命は自分で守る』につながります。そして自信になって自己肯定感が育っていくのでしょう。
・とがくし保育園は普通の公立園です。そんな中で、周囲にある素晴らしい環境を職員が感じて受け止め、子どもたちとその環境を楽しんで保育しています。もちろん、自然の中のリスクについても学んでいます。自分で好きな遊びを見つけて遊び、ふるさと戸隠を好きになる子どもに育っていけるといいなと考えています。
・自然保育と聞いて何か構えていませんか?今まで私たちが培ってきた保育を新しくするわけではありません。今までの保育に隠れていた芽を探すことが大切かと思います。『信州やまほいく』は決して類人猿を育てる保育ではありません。なんでも外に放り出してワイルドなことを経験させるだけで終わりではないのです。
毎日の生活の中のどこにでも、自然保育が含まれています。それを感じるか?それが見えるか?それが聞こえるか?保育者の感性が問われる部分ではありますね。もし、外でおにぎりを食べて「おいしい!」と感じたら、あなたも『信州やまほいく』の仲間です。