2017.10.10

伊那市高遠第2・第3保育園 : 元保護者 油井 由紀さん

公立のやまほいく認定園に通っていた保護者から~園での様子、そして卒園した後の子どもたちの様子~

①お子さんが通われていた園を選んだ理由を教えてください。

もともと他県から主人の実家にお嫁に来て、この高遠の地域に住むことになりました。家から一番近かったのが、この高遠第2・3保育園です。

長男を9年前から通わせていましたが、その頃から少人数でしたし、身の回りの自然に沢山触れ、親しみながら保育を行っていました。アットホームなこの保育園へ通えることをとても幸せに感じていました。

ところが今から3年前、園児数が定員の半数を切ってしまい存続の危機に追い込まれました。このことを受けて、園の存続を望む保護者会と地域の有志で高遠第2・第3保育園と地域の未来を考える会を設立、そして園に「やまほいく」という特色を持たせ、それをアピールして移住者を呼び込もうという活動を始めました。やまほいくをはじめ、ますます魅力を増したこの高遠第2・第3保育園ですが、公立の保育園らしく親子遠足や夏祭り、運動会、お楽しみ会など楽しい行事が沢山あります。

 

②園に在籍した時のお子さまの様子や園での活動などについて、教えてください。

一番下のYは、人見知りが強く、恥ずかしがり屋なので人前で何かをすることなど苦手でした。そして母と離れることに不安を強く感じる子でした。面倒見のよい長女にいつもくっつき頼りながら保育園生活を送っていたように思います。その長女が卒園してからは、朝送っていく時間はいつもYの泣き声が園庭に響いていました。しかし、いつの頃からか泣かなくなり、ある日、Yが「お母さん、もう一人でいけるから大丈夫だよ。」と言うではありませんか。いつの間にか自立した我が子にとてもびっくりしたのと同時に嬉しかったことを覚えています。

少人数クラスでの先生と友達との係わりは、多人数のそれと比べ物にならないくらい安心できる空間であると思います。安心できるから、信頼できる、自分を出せる。また異年齢の子達との係わりも多いことで、育つ心があります。上の子はお兄さん、お姉さんらしく面倒見が良くなり、下の子は、お兄さんお姉さんのようになりたいと願います。家では一番末っ子で甘えん坊だったYも、保育園ではちゃんとお姉さんするようになりました(笑)。

ここの園は保護者同士の関係もとても温かいです。小さい園なので、行事の準備や作業なんかは全員でやることが多いです。川遊びやそり遊び、お祭りに運動会。みんなで力を合わせてやるし、童心に返って思いっきり楽しむ。それがまた、保護者同士の関係を良くしているのだと思います。

 

③園の活動や子ども達の様子について、印象的なエピソードがあれば教えてください。

園の役員をしてきたときに、やまほいくの研修を受けたことがあります。そこで、「感性には感じる力と表現する力が必要で、その力が合わさると感性豊かな子どもが育つ。それには、五大芸術(美術・音楽・文学・演劇・建築(ここでいう建築とは、積み木や砂場での遊び)による自然保育をすることが必要である」と言う事を学びました。実際この園はそれが行われていると思います。

山によく出かけるので、子ども達の足腰は本当に丈夫です。急斜面をもろともせず駆け上がり、その急斜面をまた下りてくる。山の中の散歩は踏ん張る力、持久力ともしっかり付きます。

自由な活動を保証しているところもとても気に入っています。画一的にあれしなさい、これしなさいではなく、自分のしたいことを納得いくまでできる環境。それが自己肯定感につながっていくのではと思います。詳しくはフェイスブック「高遠第二・第三保育園ファンのページ」をご覧頂ければと思います。

 

④現在、小学校に入学されたお子さまの様子について、教えてください。

この地域の小学校も、裏山を持ち、四方を自然に囲まれた環境です。そして保育園と同じように少人数です。やまほいくで自己肯定感を育んでこられたことが、発表会などの大勢の前でも臆することなく自分を表現することに繋がっていると思います。入学した当初からスムーズに、毎日楽しく通えたこと、本当にありがたく感じております。

生活科の学習では秋探し等の活動を行っています。やまほいくで育ってきたからこそ、自然の知識は広く、これがあると秋だなあと感じる感性、美しいものを見て美しいと思う感性は本当に育っていると思います。

 

⑤「様々な体験活動を幼児期から積極的に取り入れる自然保育」についてどう思われますか。

自然という癒しの空間の中での体験は、感動として心の深部に刻まれるのではないかと思います。そして人生の土台を形成するこの時期に、五感を使って自然の美しさを知り、素晴らしさを学び、楽しさを経験することは、かけがえのないことだと感じています。

 

⑥最後に、今後、園に入園される親子のみなさんへメッセージをお願いします。

私には3人の子どもがいますが、うちの子ども達は本当に自然が大好きです。保育園のときに自然にうんと親しんだからこそだと思います。長男は現在6年生。植物や生き物が大好き、魚釣りが大好きで、この自然いっぱいの自分の故郷を愛する気持ちが本当に育っている思います。

この園に通ったことで、先生や保護者仲間と子どもの成長を共に楽しむことができました。楽しむに到るにはもちろん悩みもありました。子育てに関する様々なことを周りと共有することで、お互いに学びがあり、そこから色んなヒントをもらえました。

まず親が楽しむこと、その感情は子どもにも伝わり、子どもにもとても良い影響を及ぼすと考えます。この地域は人があったかいです。この園の先生、保護者も然り。美しい自然に、人に癒しのパワーをもらいながら、自分も楽しむこと忘れないでほしいです。