2015年12月17日
【サンショウウオの飼育を通して】
4月12日〈サンショウウオのたまごを見つけたよ〉
子どもたちが、小川でサンショウウオのたまごを見つけ、喜んでバケツに捕ってくる。「何サンショウウオのたまごだろう?」と言いながら見ているので、「部屋にある図鑑で調べてごらん?」と保育士が提案する。いろいろな図鑑を調べたが、同じたまごのサンショウウオを見つけることができなかった。数日後、保育士がインターネットで調べて、クロサンショウウオのたまごとわかり、画像をプリントして持っていくと、「あー、本当だ!これと同じ」と何度も写真を眺めていた。子どもたちが観察しやすいように水槽に写真を貼り、玄関に置くことにする。
5月2日〈サンショウウオの水を交換する〉
たまごから赤ちゃんが生まれ、毎日水槽を眺めることが楽しみな子どもたち。C児は、気になるものの「気持ちわるい」と言ってあまり親しみが持てない様子だった。保育士がサンショウウオの水槽の水を交換していると、「先生、何しているの?」とC児が寄ってきた。「水をきれいにしてあげているんだよ」と答えると、「私もやりたい」と言うので、おもちゃのカップを渡し、サンショウウオを水槽に移すのを手伝ってもらう。「金魚すくいみたいだね」と喜んで手伝うC児。見ていた周りの子も「やりたい」と言い、交代でサンショウウオを新しい水の中に移してくれた。
5月24日〈サンショウウオの手足が生えてきたよ〉
C児が「先生、サンショウウオに手と足がついているよ」と知らせてきた。見るととても小さい手と足が生えていた。「わぁ~本当!小さい手だね」と答えると、C児も嬉しそうにし、登園する友だちに知らせていた。
5月29日〈サンショウウオを観察しよう〉
手足が生えてきたサンショウウオを1匹ずつカップに入れて観察し、気づいたことをみんなで知らせ合った。「小さい手と足がついてる」「長いしっぽがある」「目が小さい」など、気づいたことを口々に話す中で、「顔の横にヒラヒラした手のようなものがいっぱいついてるよ」と気づいた子がいた。保育士が「それなんだろうね」と問いかけると、「手じゃない?」「泳いでるからヒレだよ」と考えている様子だったが、A児が「それはエラだよ。水の中にすんでいるからお魚みたいにエラがあるんだよ」と教えてくれた。クラスの友だちも「Aくんすごーい!」と感心していた。普段は相手の思いを考えずに、友だちの気に障ることを言ってしまうA児だが、友だちに「すごい」と褒められて、とてもいい表情を見せていた。
7月2日〈サンショウウオが大人になる〉
サンショウウオが大人(成体)になり、水から出て石の上を歩いたり、水槽の壁をよじ登るようになる。子どもたちは、「ビック君」と名前をつけ、エサをあげるなど世話をしてきたが、大人になってからエサが変わってしまったようで、ミミズなどのエサを食べなくなってしまった。「何にも食べなくなったよ」「大丈夫かなあ」と心配し、「何を食べるんだろう?」と子どもたちは図鑑で調べようとしたが、サンショウウオの飼い方はどの図鑑にも載っていなかっった。保育士がインターネットで調べてみると、大人のサンショウウオはワラジムシを食べることがわかった。
7月19日〈サンショウウオを川に戻す〉
男の子たちは、園庭で遊んでいるときにワラジムシを見つけては、サンショウウオにあげてみるが、全く食べようとせず、子どもたちからも「ビック君小さくなってきたね」との声が聞こえるようになってきた。そこで、そのことを他の子どもたちにも知らせ、みんなでどうしたらよいか話し合いをする。
女の子たちからは「かわいそうだから逃がしてあげよう」という意見が出されたが、男の子たちは「逃がすのはいやだ」と言う。保育士から、ビック君の気持ちになって考えてみようと伝えた。子どもたちからは「また虫を捕まえればいい」「でも食べなかったよ」「ビック君はおしゃべりできないからどんな虫が好きかわからない」「ずっと入れ物の中に入っていて、好きなものが食べられないのはかわいそう」…などたくさんの考えが出された。
話し合いが進むうちに、男の子たちの中からも「ビック君、やっぱお腹がすいてかわいそう」「逃がしてあげた方がいい」と気持ちが変わっていく子が出てきて、最後はみんなが逃がした方がよいという結論になり、たまごをとった川に逃がしてあげることにした。
この地域では、観光業を営む家庭が多く人の出入りが多いことから、子どもたちは多くの大人と触れ合い、いろいろなことを見聞きしています。そのため、言葉も発想も豊かなところがある反面、自己主張が強く、友だちの意見を否定したり、揚げ足をとったりする子の姿も見られました。
サンショウウオという小動物を飼育する経験を通して、いのちを慈しむ気持ちが芽生え、生き物の育ちについての気づきや感動を友だちと共有することで、自然と友だちを大切にしようという気持ちが育まれていきました。また、大人になったビック君を逃がしてあげるかどうか、意見が分かれましたが、保育者が寄り添いながら丁寧に意見を聴き取っていったことによって、最後は友だちの意見を受け入れ、生き物を思いやって森に逃がすということを決めて、子どもたちの心は一層大きく成長したように思います。
すがだいら保育園は自然の恵みを日常的に感じることができる豊かな環境にあり、周辺には緑豊かな木々が繁り、園の周りには高原野菜の広々とした畑が広がっています。菅平では、多くの家庭が旅館・ペンションの経営や大規模な農家経営に携わっています。観光シーズンや収穫期は多忙になるため、保護者の方からは「忙しくてなかなか子どもに関わっていられない」という声も聞かれました。
そこで「一人一人のありのままの姿を受け入れ、安心できる場を作る」ために、子どもたちが自然の中で思う存分遊ぶことで、自分を発揮し、心豊かな子どもになるよう保育士と心を合わせていこうと考えました。自然の中でたくさん遊ぶことを通して、人との関わり方も学んで欲しいと思い、「自然の中へ出かけ、子どもの思いや発見に共感することで自己肯定感が持てるようにしよう」と方針を決めました。
子どもたちは、年中毎日のように自然の中へ出かけ、木登りをしたりいろいろな植物や虫取りをしたりして遊んでいます。自然の中で出会った小動物や植物の命に触れる経験を通して、友だちの思いや良さに目を向けることができるよう、意識して関わりました。
園の形態 | 普及型 |
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代表者氏名 | 市長 : 母袋 創一 |
運営法人 | 上田市 |
運営法人代表者名 | 上田市長 |
園の設立日 | 1962.11.1 |
認定日 | 2015.10.13 |
区分 | 保育所 |
住所 | 〒386-2201 上田市菅平高原1223-392 |
エリア | 東信 |
お問い合わせ先 |
TEL : 0268-74-2160 FAX : 0268-74-2160 MAIL : hoiku@city.ueda.nagano.jp |
ホームページ | http://www.city.ueda.nagano.jp/hoiku/kenko-fukushi/kosodate/shisetsu/hoikuen/koritsu/30.html |
定員数 | 未満児 : 18人 3歳児 : 14人 4歳児 : 14人 5歳児 : 14人 6歳(学童)以上 : 0人 |
基本開所曜日 | 月,火,水,木,金,土 |
基本開所時間 | 8時30分〜18時 |
延長保育の有無 | 要問合せ |
園児募集 | 要問合せ |
保育者募集 | 募集中 |