2015年12月17日
背景
「火」の存在を子どもの生活の中で日常化していきたいというねらいから、毎朝子ども(年長児)がマッチでたき火に火をつけ、調理をしたり、暖をとったり、遊びに活用している。
景色1:マッチからたき火を
朝一番早く登園してきた女児が、焚きつけの松葉にむかってマッチを擦るが、なかなか火がつかない。数回マッチを擦った後、マッチが湿っていて火がつきにくいのでマッチを交換してほしいと保育者に伝えてくる。
新しいマッチに替えるとすぐに火が点き「マッチかえたからすぐついたー」と嬉しそう。
「てんきがわるいと(湿っていて)つきにくいんだよねー」と、たき火のもくもくと上がる白煙を目で追いながら言っていた。
景色2:たき火で美味しい焼栗のシーズン
庭の栗の木が実を落とし始めると、登園と同時に木の下に駆けて行き、栗を拾おうとする姿が多くなる。年齢が上になるほど、栗の実の色づきの変化に敏感になる。
足を使って器用に栗をイガから出し、虫に喰われていないかを確認する。
年長男児に栗の焼き方を教えてほしいとお願いしてみた。
拾った栗を直接たき火に入れようとすると、「キズをつけてからいれなきゃ(破裂するから)ダメ!」と制止された。
火ばさみで切れ目を入れてたき火に入れると、「そこじゃこげちゃう」と再度指摘を受けた。
炎に近づけすぎると黒く焦げるばかりで中までおいしく焼けないとのこと。
炎から適度に離れた場所に子どもたちの栗が並んでいた。「これはオレの。これは○○ちゃんの。」どれが誰の焼いているものなのかを承知している様子。
鬼皮の切れ目が割れ、黄金色の栗が見えてくる。「どう?もういいかな?」と尋ねると「うん。やけてる。」とOKが出た。
熱々の栗を火ばさみでたき火の外へ出し、用心深く熱さを確かめながら鬼皮を剥くと、黄色みの濃くなった栗が出てくる。口に入れると「おいしい?」と確認してくる。うなずくと満足げに自分の栗の世話を続けた。
栗がとれ始めた頃はさほど興味を示さなかった年長女児の1人は連日他の子どもたちが栗を焼く様子を見ているうちに自分でも焼いてみようと思ったよう。
栗を1つだけ拾ってきて、友だちの真似をして焼いてみる。焼けた栗を食べてみて、にっこり。
再度1つ栗を拾い焼いていた。焼けたところで「おいしい?」と声をかけると、「あげる。」と味見用に栗のかけらを手渡してくれた。顔を覗き込みながら「おいしい?」と尋ねてくる。うなずくとにっこり笑った。
景色3:たき火で特製クッキーを焼くよ
4月当初から続いている土を使っての遊び。団子を作ったりままごとしたりする姿が途切れることなく続いている。
年長男児が泥団子2個を平らにつぶし、たき火台の上にのせてあった網の上で焼き始める。
少しずつ色が変わってくる様子から焼きしまり具合を確認している。
しばらくすると「クッキーやけたよー!」と、焦げ目のついた“クッキー”を火ばさみで慎重にはさんで、網から下ろす。
大きめの葉っぱ(オオバコ)を摘んできて、焼きあがったクッキーをそっと葉の上にのせて包み、「クッキーやけたよ。あついからね。」とまだほかほか温かい包みをにこにこしながら渡してくる。
男児の見ている前でそっと包みを開けると、焼きあがったクッキーが入っており、「おいしそー」と言うと、ニコッと笑う。
周囲にいた子どもたちも包みの中のクッキーをのぞき込んでいた。
景色4:冬の朝、たき火と一緒に
冬休み明け初日。登園してきた年少男児が何をするともなくたき火に近寄ってきて、火の世話をしている。
火ばさみを片手に薪をくべては、火が小さくならないように番をしている。
そこへ登園してきた別の年少男児が加わった。焚き火が長期休み明けの朝の2人のよりどころとなっている様子。2人で笑って会話しながら火の番を続けていた。
その日の午後の散歩では、急な斜面の登り降りをしたにもかかわらず、年少男児は木の枝を数本抱えて戻ってきた。「あしたのまきにするんだ。」とのこと。
その日以降も火ばさみやうちわを片手に火の番をする男児。たき火に集まってくる友だちと火を眺めながらおしゃべりしては、朝の時間を過ごしている。
景色5:たき火がもたらす水の変化 その1
たき火台の上に片手鍋を置き、お湯を沸かそうとしている年長男児。
鍋に入れた水の温度を時々指で確認しながら「まだぬるい。」と、なかなか沸かないお湯を気長に待っている。
「ゆげがでてきた。」と言って鍋に指を入れるが、まだ希望する温度になっていない様子。
水がお湯になるまでの変化に見入った時間となった。
同じたき火台では、バットに入れた氷をたき火でとかそうとする年少男児の姿もあった。
熱を加える事で変化する氷の様子に不思議さを感じていたかのようだった。
景色6:たき火がもたらす水の変化 その2
朝、外遊び用の鍋の中に残っていた水が凍っているのを見つけて「こおりをとりたい。」と保育者に鍋を持ってきた年少男児。
「取れないね。どうやって取ろうか。」と問いかけると「あそこにおく。」とたき火を指さす。
少しこわごわながらも自分でたき火台の端の方へ置いた後、内側まで押す。
とけかかった頃「そろそろいいかもね。」と声をかけ、保育者が鍋をたき火から離す。
「あっとれそう。」と鍋を逆さにして地面にとけかかった氷を出していた。
「熱くて危険なもの」という認識が高い「火」ですが、使い方次第で心の拠り所になったり、遊びの幅を広げてくれるものになったり、おいしいものを作るときには欠かせないものになったりします。その事にそれぞれの生活体験の中で気がつきながら、上手に向きあっていく子どもたちの姿勢が、暮らし全般にたのもしさを感じさせます。
人の暮らしに欠かせないものでありながら、生活の中で子どもとの接点が遠ざかりつつある「火」に向き合うことで、なにげない風景を紡いでいくことの大切さをあらためて感じます。子どもたち一人ひとりの心の中にも、「火」と「暮らし」の結びつきの大切さと豊かさを燈していきたいと思っています。
園の形態 | 特化型 |
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代表者氏名 | 園長 : 小林 成親 |
運営法人 | 特定非営利活動法人 山の遊び舎 はらぺこ |
運営法人代表者名 | 阿部 大輔 |
園の設立日 | 2005.4.1 |
認定日 | 2015.10.13 |
区分 | 認定こども園 |
住所 | 〒396-0004 伊那市手良中坪1452 |
エリア | 南信 |
お問い合わせ先 |
TEL : 0265-76-3341 FAX : 0265-98‐9355 MAIL : hello@harapeco.org |
ホームページ | https://harapeco.org |
定員数 | 未満児 : 5人 3歳児 : 7人 4歳児 : 7人 5歳児 : 7人 6歳(学童)以上 : 0人 |
基本開所曜日 | 月,火,水,木,金 |
基本開所時間 | 8時〜16時 |
延長保育の有無 | 要問合せ |
園児募集 | 要問合せ |
保育者募集 | 要問合せ |