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Vol.005

自然体験が子ども達を育てる 日本自然保育学会会長 博士(教育学) 幼稚園教諭・保育士資格 上原 貴夫 さん 2016.02.26

私は心理学・教育学を専門としています。現在、保育と研修の実践の場として「森と自然の保育園」を月に1回、通年で実施しています。特徴は子ども達とともに保護者の方、幼稚園教諭・保育士など保育者の三者が一緒に参加している点です。

子ども達は自然の中で仲間と工夫し、助け合いながらたくましく活動します。保護者の方はそんなわが子を目の当たりにします。また、自然の中で子育てができるとともに、他の保護者の方とともに子どもの成長など語り合えます。保育者の方は自然と向き合う子ども達の姿や子ども達どおしのかかわりなどを実際に即して研修します。

自然の中にはさまざまな学びがあります。IMG_7741mini

人をやさしく迎えてくれる自然、子ども達の個性を豊かに包み込んでくれる自然を身をもって感じ取ることができます。

一方、自然の厳しさは子ども達を力強く育てます。自然は天候ばかりでなく、風に揺れる木々も、朝の日の出、夕闇の訪れもさまざまに変化します。それは子ども達が心ときめく時でもあり、緊張を生む時でもあります。

子ども達はさまざまに姿を変える自然に対して自分自身の意思と身体(からだ)で向き合っていきます。仲間と協力して乗り越えていきます。

自然は科学の宝庫です。自然が息づく生態系は科学のメカニズムそのものです。赤や白、黄色、さまざまな色に咲く花、草木の一つひとつにすべて科学的な理由があります。森で出会う昆虫や動物は生きものの営みを見せてくれます。「知」や「生命」と出会う瞬間です。

森や自然の中の出来事は驚きと発見の連続です。森や自然は子ども達が自分自身を試すフィールドでもあります。

それは子ども達の育ちそのものです。