Vol.003
未来を繋ぐ 一般社団法人 長野県私立幼稚園協会 理事長 窪田 英一 さん 2016.01.06
「小川のせせらぎの中のメダカやゲンゴロウ。」
「満天の降り注ぐような星空の下、広がる天の川。」
「川辺でオニヤンマがブーンと大きな羽音をたてて、あっという間に耳元を飛び去っていく。」
「野原で捕まえたキリギリスの産卵管が長くてビックリ。」
「朝露を含んだ花の蜜の爽やかさ。」
「30年経ち、40年経ち、皆さんがおじいちゃんおばあちゃんになった頃。その時私は勿論雲の上で見ているでしょうが、このようなことを子ども達は体験できるでしょうか?」と、ここまで新規採用者に話をした時に、あれどうも反応が鈍い、どれか体験していないのだ。どうもゲンゴロウとキリギリスは未体験ゾーン者がいるのです。今後はおたまじゃくしとだんごむしに置き換えなければと反省したしだいです。
子どもは未来の宝といいながら、子どもが子どもらしく育つ保障が出来ない時代になりました。幼稚園や認定こども園では家庭で出来ない経験や体験をさせてあげること。それが務めであり幼児教育者の責任でもあります。
子どもはあそびや生活といった直接的・具体的体験を通して、生きる力と学びの基礎を育むことが大切であり、共に過ごす幼児教育者はあそびと生活の専門家であって欲しいと思います。
子どもが育つ環境とは、子ども達の興味や関心を引き出す為に、物的環境と人的環境である自然や同年齢層の仲間や空間・時間があり、子ども達に寄り添い適切な援助をする先生がいることです。
信州の魅力は自然が豊かで安心・安全であることです。文明が進めば進む程この魅力は貴重なものになります。信州の幼稚園・認定こども園は庭でも、また一歩園外に出ても、いつも感覚的な体験(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)との出会いが待っています。
テレビやゲームそしてスマホは、これからも家庭や子ども達の生活のみならず心にまで入り込みます。しかし、メディアは幼児教育の主体にはなれません。子どもが子どもらしく育つことが出来る、そのような未来を繋げてあげる。
まさにそれこそが信州いや心州です。